第408章 彼と白石知子

高橋唯人は彼女の警告など歯牙にもかけず、鈴木夏美のそばに身を寄せると、深く息を吸い込んだ。

「ずっときみと話がしたかったんだ。でもこのところ、ずっと別荘に引きこもっていたから機会がなくてね」

 この男のふしだらな態度を見るに、口から出る言葉にろくなものがあるはずもない。

 鈴木夏美は警戒心を露わにして彼を睨みつけた。

「話って?」

「兄貴はあんなふうに無粋な男だ。きみのような美女が彼についていくなんて、実にもったいない。今の状況はもうはっきりしているだろう? どうだ、俺と一緒になるというのは」

 高橋唯人の物言いは呆れるほど馬鹿げている。彼は鈴木夏美に惚れているわけではない。その本...

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