第409章 モーニングスターの位置

そのスーツ姿の中年男は、小粒な瞳をせわしなく動かし、いかにも小賢しいといった雰囲気を漂わせている。

 ギャンブルに慣れきった古狸といった風情だ。高橋隆一はその男をじっと観察し、黒狐からの情報を照合して確信した。こいつが郷田だ。

 郷田は今夜、このカジノの表向きの責任者を務めている一人だ。カジノの裏のオーナーは謎に包まれており、その正体は不明である。

 高橋隆一の顔は付け髭で覆われ、持ち前の精悍な輪郭は完全に隠されている。目元にも細工をしてタレ目に見せているため、知人が見ても彼だとは気づかないだろう。

 高橋隆一は郷田を値踏みするように上から下まで見回し、すぐには頷かなかった。

「どうい...

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