第41章

彼女の声は微かで、ほとんど気づかないほどだった。

鈴木夏美はバスルームの壁タイルを無表情に見つめていた。彼女はすでに痛みで麻痺し、高橋隆一が自分を許してくれるという望みはもう捨てていた。

高橋隆一の動きが明らかに止まった。

彼は高橋グループの社長、高橋社長だ。数え切れないほどの富と、人を寄せ付けない権力を持っている。だが、どんな一流の医療チームでも治せない病があるのだ。

何かを感じたのか、高橋雄平は彼女を見下ろした。

「お前の命は俺のものだ。死ぬにしても俺の許可が必要だ。死ぬことは許さない」

相変わらず、子供じみて滑稽な男だ。

この瞬間、意識が朦朧とする中で、鈴木夏美は自分の病...

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