第417章 悔しさ

浅野舞は高橋隆一という男に、心の底から怯えていた。彼に対して大声を上げる勇気など微塵もなく、すがるような視線を隣の男に向けた。

「私がここを出て行くのはいいけど、息子があそこで跪かされているのよ。先に彼を助けて」

 高橋唯人はガラスの破片が散乱する床に跪いていた。膝からは鮮血が滲み出し、こぼれた酒と混ざり合って、その光景は異様としか言いようがなかった。

 高橋修二としても、一家の主としてこれを座視するわけにはいかない。

 彼は田中雄介のそばまで歩み寄ると、相変わらずの高慢な口調で言い放った。

「どんな過ちを犯したにせよ、あいつはもう十分罰を受けたはずだ。さっさと解放しろ」

 田中雄...

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