第431章 ママは私が嫌い

「中野さん、止まって」

 木陰を抜けたところで、鈴木夏美はふと魔が差したように振り返りたくなった。

 白石知子と高橋隆一が一緒にいたという記憶はない。二人の間に本当に感情があるのか、どうしても気になってしまったのだ。

 中野さんは賛成しかねるといった様子だったが、それでも車椅子を脇へと退けた。

 少し眩しい光に目を細めながら振り返ると、ちょうど高橋隆一が女の子を抱き上げるのが見えた。

 その傍らで白石知子が彼を見上げ、真剣な眼差しを向けている。一方、高橋信也は夏美が去っていく方向を、名残惜しそうに見つめていた。

 四人が佇む姿は、まるで睦まじい四人家族そのものだ。やはり、高橋隆一の...

ログインして続きを読む