第434章 記憶の断片

「もちろんだとも。知っておるよ」

 そう言い放った祖父の顔には、誇らしげな色が浮かんでいた。希ちゃんという人物を知っていること自体が、彼にとって一種のステータスであるかのように。

 高橋隆一の瞳が鋭く光る。

「爺さん、教えてくれないか?」

 うまく誘導できるかと思ったが、祖父は頑として首を横に振った。

「ふん、お前の考えなどお見通しじゃ。わしの名を使って希ちゃんに近づこうとしておるんじゃろう。騙されんぞ」

 高橋の祖父はもうろくしているはずだが、意外にも警戒心だけは鋭く残っているようだ。

 隆一はさらに食い下がってみたが、これ以上有益な情報を引き出すのは不可能だと悟り、強引な追求を諦め...

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