第48章

高橋隆一の普段のやり方からすれば、このような検査を指示するはずがない。何か気づいたことがあるに違いない。

鈴木夏美は全身の血が沸き立つような感覚に襲われた。拒否したいところだが、私立病院では拒否する権利など持ち合わせていない。

二人の口論の件で栗原伸昭は一晩中準備していたが、高橋隆一から渡されたカードを受け取った瞬間、気持ちが落ち着いたように感じた。

彼は病室に入り、動かない鈴木夏美を見つめた。

「奥様、高橋社長があなたを気にかけていなければ、こんなに多くの検査項目を用意させるはずがありません。スタッフの気持ちも汲んで、検査を受けていただけませんか?」

その言葉を聞いて、夏美は心の...

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