第49章

どうせ、何を言ったところで疑われるのなら、いっそのこと認めてしまって、高橋隆一を怒らせてやろう。

高橋隆一の動きが止まった。

「よくもやったな!」

比較的広い病室に重苦しい空気が漂い、二人は睨み合ったまま、どちらも引こうとしない。

高橋隆一は自分が騙されたと思い込み、鈴木夏美の胸中はさらに辛かった。

彼はいつもこうだ。明らかに問題のあるものを持ち出して自分を責める。

このまま二人が対立し続ければ、取り返しのつかない結果になりかねない。

栗原伸昭は自分が来るタイミングを間違えたと深く感じた。

一枚の検査報告書がこれほどの争いを引き起こすとは。知っていれば、少しくらい軽い症状を書...

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