第51章

鈴木夏美は当然、栗原幸夫がこの件で困るのを望んでいなかった。承諾した後、彼女は再び相手の質問を耳にした。

「君の検査結果が確かに入れ替えられていたんだ。ここに残って、もう一度検査してから退院したらどうだい?」

鈴木夏美は首を振った。

「この人は私を狙っているんです。もし検査を繰り返せば、警戒心を引き起こしかねません。この件は、委員長にも誰にも話さないでいただきたいんです」

大型医療機器の放射線の影響を考え、目の前の鈴木夏美の何気ない表情を見た栗原幸夫は、先ほどの考えを諦めた。

「何か問題があったら、いつでもLINEで連絡してくれ」

二人の関係はずっとそっけないものだったが、LIN...

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