第56章

二人は時間通りにチャリティーパーティーに到着した。事前に寄付をしていたため、鈴木夏美は二人分の招待状を手に入れていた。

「地下駐車場は寒いから、先にパーティー会場で座っていて。すぐに戻るから」

車が走り去るのを見送った夏美はパーティー会場の入口へ向かったが、まさに入ろうとしたところで警備員に止められた。

「招待状をお見せください」

周りの人々は何の確認もなく通されているのに、夏美だけが検査を受けることに疑問を感じた。

「私だけ確認が必要なんですか?」

警備員は少し困ったような顔をした。

「上からの指示なんです。特殊な状況ですので、お客さん、どうかご理解ください」

確かに夏美の...

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