第69章

その日、高橋隆一をうまくかわした後、彼は数日間姿を見せず、ただ招待状を届けさせただけだった。

鈴木夏美は自分の要求がとても非常識だと分かっていた。

元妻が婚約者の息子の誕生日会に参加するなんて、どう考えても居心地が悪い。

だがこの誕生パーティーには、どうしても行かなければならなかった。

招待状には誕生パーティーの場所がはっきりと記されていた。まったく、高橋隆一は息子に対して本当に大盤振る舞いだ。

彼は丸ごとクルーズ船を一隻買い取り、高橋信也の名前を冠し、晩餐会の会場もそのクルーズ船の上だった。

この微妙な場所選びに、鈴木夏美は白石知子が自分の勝利の果実を見せびらかしているのではな...

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