第72章

栗原幸夫が本当にあの男の顔を突き止められたなんて、鈴木夏美は喜びを隠せなかった。

しかし、パーティーのような場所は人も多く、噂話も飛び交う。明らかに詳しく話し合うには適していない。

鈴木夏美は胸の高鳴りを抑えながら言った。

「委員長、もう少し詳しく調べていただけませんか。以前、別の病院でこの人を見かけたことがあるんです。こんな偶然があるはずないと思って…私、誰かに付け狙われているんじゃないかと」

鈴木夏美はボディガードを雇うことも考えたが、そうすれば相手は確実に戦略を変えるだろう。それなら相手の隙を待った方がいい。

栗原幸夫は彼女の言葉を聞いて、ようやく事態の深刻さを理解した。

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