第73章

長尾久行が酒を飲み干すのを目で見届け、その後ビュッフェレストランの奥まった場所へ走り込んでいくのを確認して、池上成美は得意げに歩み出た。

「うまくいったの?」

白石知子は優雅に座っていたが、その目には一筋の恨みが光っていた。

池上成美は高慢に顎を上げ、手柄を誇示した。

「私が手を下せば、うまくいかないことなんてないわ」

「約束したことは守るわ。私の下で働けば損はさせないから安心して」

白石知子は心から喜び、池上成美を病院に入れるのは自分の一言で済むことだと思っていた。

池上成美は彼女の向かいに座り、目に悪趣味な光を宿した。

「あの二人のことが業界の人に知られても、そう遠くまで...

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