第79章

「まったく、この二人は良い生活なんてしてこなかったんだな。想像力までこんなに貧弱だなんて」

鈴木夏美は心の中で言いようのない複雑な思いを抱きながら、冗談めかして口を開いた。

「条件にゼロを二つ足せば、高橋隆一なら目も瞬きせずに出せるわよ」

二人は一瞬固まり、指を折りながらしばらく計算した後、驚愕の声を上げた。

「うわぁ、20億円も彼にとっては小銭なの?」

世間知らずな二人の様子を見て、鈴木夏美は心の中で最も疑問に思っていたことを尋ねた。

「あなたたち、どうやってあの船に乗り込んだの?」

業界の名門奥様でさえ、招待状なしではあんな場に現れることはできないはずなのに。

浩二は頭を...

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