第8章

田中健太が鈴木夏美に教えた住所は、とある墓地だった。

鈴木夏美は少しばかり落胆した。高橋隆一から妹が既に亡くなっていることは聞いていたし、手がかりと言えば墓地の場所だけでは、真相解明の助けにはなりそうもない。

「まあ、手がかりがあるだけマシか」

鈴木夏美はため息をつき、今は離婚して2億円を手に入れるのを待つしかないと思っていた。

まもなく、彼らの車は高橋家の荘園へと入った。

「奥様、ご案内いたします」

田中雄介は荘園の方へ、手招きする仕草をした。

鈴木夏美は白目を剥き、呆れたように田中雄介を見た。

「しばらくここに住んでなかっただけで、道に迷うと思ってるの? ここは、私が植えた...

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