第88章

彼女は顔を上げて高橋隆一を見た。彼は眉をひそめているようで、康太の言葉に賛同していないようだった。

「どうせ私はもう死ぬんだから、言いたいことは全部言わなきゃ。あなたが智史さんを嫌うのは、鈴木お姉さんのことが好きだからでしょ。お姉さんに関係ある男性全員を妬いて殺そうとしてる。鈴木お姉さんが泣いてるのを見て、嬉しいの?」

今度は鈴木夏美だけでなく、傍に立っていた田中健太までもがこの子の大胆さに驚いて彼を見つめていた。

このガキ、年は若いのに恋愛事情をよく見抜いているな!

社長の狂気じみた行動の中に深い愛情を見出せる人は、そう多くはない。

高橋隆一は鈴木夏美から手を離し、銃を持つ手を下...

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