第9章

鈴木夏美と高橋隆一は外の車に向かって歩いていった。

二人は車に乗り込んだ。鈴木夏美は長い息を吐いた。これから離婚さえすれば、2億円を手に入れて父の治療費を払うことができる。とりあえず一つ心配事が片付いたと思った。

しかし、鈴木夏美がもうこれ以上何も起こらないと思った矢先、本当にまた予想外の出来事が起きた。

高橋隆一のポケットの携帯電話が突然鳴り出した。高橋隆一は眉をひそめながら電話に出た。

電話は白石知子からだった。電話に出るとすぐに、白石知子の焦った声が聞こえてきた。

「隆一、信也が高熱を出してるの。泣き止まないわ。早く来て見てあげて」電話の向こうからは白石知子の焦った声だけでな...

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