第56章

「千穂ちゃんが認める前に、お前が署のお世話になりそうだね!」

木戸達也の声は地獄から響くように陰鬱だった「ボディーガードにここで見張らせておきます。すぐに警察があなたを迎えに来るでしょう」

篠原お婆さんの心臓は一瞬にして喉元まで跳ね上がった。

まさか木戸達也がここまで顔向きを気にせず、警察まで呼ぶとは思いもしなかった。

彼女はそれでも篠原千穂の年上なのに!

篠原お婆さんは木戸達也が篠原千穂を抱えて去っていくのを目の当たりにし、慌てた足取りで植田恭子の部屋へと向かった。

先ほどの出来事を植田恭子はすべて聞いていたにもかかわらず、姿を現す勇気がなかった。

篠原お婆さんがドアをノック...

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