第57章

翌日の午前中、篠原千穂は突然悪夢から目を覚ました。

「出して!やめて!」

彼女は冷や汗をかきながら叫び声を上げた。

木戸達也は慌てて彼女を腕の中に抱き寄せ、優しく慰めた「どうしたんだ?また悪夢を見たのか?」

篠原千穂はゆっくりと落ち着きを取り戻し、少し朦朧とした目で彼を見つめた。

良かった。ただの夢だった。もう終わったんだ!

彼女はほっと息をつき、尋ねた「今何時?今日、確か授業があったはずだけど」

木戸達也は淡々と言った。

「高橋に頼んで休みの連絡を入れておいた。今週は大学に行かずに、家でゆっくり休むんだ」

「でも大学院試験が近いから、私...じっとしてられないよ」

篠原...

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