第112章

入江一純は今まさに春風満帆の絶頂期にあると思っていたが、電話に出た途端、小林雪子から激しい罵声を浴びせられるとは夢にも思っていなかった。

彼の顔が一気に歪む。小林雪子に対して冷笑を浮かべ、吐き捨てるように言った。

「俺が間抜けなのか、それともあんたのやり方が役立たずなのか、どっちなんだ? あんたにあれこれ教わって、何度も安井綺世のところへ足を運んだが、結果はどうだ? 何が得られた?」

「俺は指を一本失くしたんだぞ!」

入江一純は溜まりに溜まった鬱憤をすべて小林雪子にぶつけた。

「自分は安全圏に隠れて気楽なもんだな。汚れ仕事やきつい仕事は全部俺に押し付けておいて、あんたの出した知恵な...

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