第120章

安井綺世と相馬千冬は、沈黙の中で視線を交わした。

二人の表情は冷え切り、即座に殺気が滲み出る。

彼女は深く息を吸い込み、歯を食いしばって言った。

「あいつに電話するわ。一体何がしたいのか問い詰めてやる」

相馬千冬は氷のような眼差しで、安井綺世の手にあるスマートフォンをじっと見つめ、目を細めた。沸き立つ殺意を、ひとまず押し殺すように。

電話が繋がると、入江一純の歯切れの悪い声が聞こえてきた。

「もしもし? やっと金を払う気になったか?」

安井綺世は相手にせず、冷笑して言い放つ。

「死にたくなければ子供たちを返しなさい。これが最後のチャンスよ」

「子供? なんの話だ?」

向こ...

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