第15章

安井綺世(やすい・あやせ)は少し考えた末、相馬千冬(そうま・ちふゆ)に頷いてみせた。

二人の役割分担がまだ決まる前に、千冬に電話がかかってきた。彼は通話のため、その場を離れていく。

この隙を逃す手はない。綺世は慌ててスマートフォンを取り出し、初幸(はつゆき)に発信した。

コール音が十秒以上続き、綺世の不安が警察に通報しかけるほどに膨れ上がった頃、ようやく電話がつながった。

彼女は足早に非常階段へと移動し、誰かに聞かれないよう受話口を手で覆い隠す。

「初幸、二人とも大丈夫?」

「安心して。二人とも晩ご飯食べてなかったから、私が差し入れを持ってきたところよ」

受話器の向こうから聞こ...

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