第150章

相馬千冬と安井綺世は、バスルームの入り口で氷像のように立ち尽くしていた。

進むことも退くこともできず、相馬千冬は音もなく喉を鳴らす。掌に感じる安井綺世の腰の柔らかさが、嫌というほど存在感を主張していた。

全身の血が沸騰するような感覚。

だが、安井綺世はそんなことなど露知らず――。

彼女はその場に少しの間立ち尽くすと、不機嫌そうに呟いた。

「眠い……頭痛い……もう寝る」

そう言いながら、彼女は相馬千冬の胸を両手で押し、「寝かせてよ……」と文句を垂れた。

不意を突かれた相馬千冬の手から、安井綺世はいとも簡単にすり抜けていく。

彼女はそのままふらふらとベッドへ戻ると、重力に身を任せ...

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