第16章

電話の向こうでは、相変わらず瞬時に応答があった。

安井綺世の絶望に染まった視線の先で、受話器から愛くるしい声が響く。

「ママ?」

皐雪は状況が飲み込めず、安井綺世からの返事がないため、電話が壊れたのかと思い、さらに二度ほど呼びかけた。

その声が響くたび、安井綺世の心は死灰のように冷え込んでいく。

相馬千冬はスマートフォンを握る指に力を込め、脳をフル回転させて瞬時に状況を理解した。

これはもはや、単なる婚姻期間中の不貞ではない。

安井綺世は外に男を作っただけでなく、あろうことか隠し子まで設けていたのだ!

手元の画面から放たれる蒼白い光が、安井綺世の血の気のない顔をさらに青白く照...

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