第17章

相馬千冬は、安井綺世がまるで猛獣か何かのように自分を避けるのを見て、鼻で笑った。

「あんなに離れて、俺に食われるとでも思っているのか?」

安井綺世はふふんと笑う。

「ご自分を過小評価しすぎよ」

相馬千冬が言い返そうとしたその時、スマートフォンの通知音が鳴った。

国内の情報収集は容易だ。ましてや伊東逢己は相馬千冬の秘書であり、顔も広い。丹羽佑妃の身辺調査など、すぐに完了していた。

戸籍上は未婚のまま。この五年間、大病を患った記録もなければ、私立公立問わず、産婦人科に通った履歴すらない。

三年前に恋人がいたようだが、数ヶ月で破局している。別れ方はあっさりしたもので、それ以降、丹羽佑...

ログインして続きを読む