第175章

その見事な言い返しに、安井綺世はぐうの音も出なかった。

腹の虫が治まらず、彼女は自分のノートパソコンを引ったくるように抱え込み、きびすを返した。

「仕事中に誰かがそばにいるのは嫌なの。私の荷物、全部外に出してちょうだい」

相馬千冬はパタンとドアを閉めると、悠然とオフィスの中央に腰を下ろした。

「君が出て行くのは構わない。だが、資料はここに置いていけ。スポンサーである俺には、それらを監督する責任があるからな」

綺世は血相を変えて振り返った。

「いい加減にしてよ!」

しかし彼は、彼女の燃え盛るような怒りを意に介する様子もなく、あろうことか完全に無視を決め込んだ。

結局、綺世は自分...

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