第177章

 その後の一日、安井綺世と相馬千冬は同じ空間で何事もなく平穏に過ごした。

 川瀬瑠璃の件など、綺世ははなから気にも留めていなかった。彼女のことなどすぐに記憶の彼方へ追いやられ、その敵意に対しても全く関心を払わなかった。

 そして午後、綺世が荷物をまとめて退社する準備を始めた時のことだ。

 その様子に気づいた相馬千冬が、ふいに彼女を呼び止めた。

「夜は会社の懇親会がある。お前も参加しろ」

 綺世は怪訝な顔で彼を振り返る。

「そちらの社内イベントに、私がどうして?」

 全く興味が湧かず、考える間もなく断りを入れた。

「子供の世話があるから、そんな時間はないわ。行かない」

 しか...

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