第18章

あんな落書きをされた状態では、さすがの相馬千冬も車を出すわけにはいかなかった。

相馬千冬は泣き寝入りするような殊勝な性格ではない。すぐさま病院の保安室へと足を運んだ。

高級車マイバッハの無惨な姿に、病院の警備員も肝を冷やしているようだ。

塗装の修理代だけでも目が飛び出るような金額になるだろう。

彼は急いで相馬千冬のために当日の監視カメラ映像を再生した。

モニターには、一人の女が二人の子供を連れて、地下駐車場の黒いマイバッハへ一直線に向かう姿がはっきりと映し出されていた。迷いも躊躇いもない、明確な犯行だ。

警備員は恐る恐る相馬千冬の顔色を窺った。

「あの……お客様、もしかして個人...

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