第193章

小林雪子は安井綺世の隣に腰を下ろした。その所作は妙に馴れ馴れしく、まるで昔からの友人みたいだ。

それでいて、口では世間話を装いながら、安井綺世の手稿や机の資料を興味津々にめくっていく。

「安井さんって、ほんと深藏不露ですよね。いつデザインなんて学んだんですか? それに、いきなり千冬の会社に入れる資格まで……」

声は軽い。けれど、内側の悪意は薄く伸ばした針みたいに、じわりと刺してくる。

何食わぬ顔で、さらに探りを入れた。

「千冬の会社って、入るの大変でしょう? 安井さん、どうやって面接に通ったんですか?」

安井綺世は資料を小林雪子の手元からすっと引き抜き、淡々と言った。

「用がな...

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