第20章

安井初幸が一歩前に出ると、相馬千冬の視線が彼に釘付けになった。

じっと、長い時間をかけて値踏みするように見つめる。

輪郭はまだ幼く、頬には子供特有のふっくらとした肉付きが残っている。だが、その漆黒の瞳は相馬千冬を真っ向から睨みつけており、その様は千冬の胸中に唐突な既視感を呼び覚ました。

彼の眼差しに、探るような色が濃くなる。

安井綺世は心臓が早鐘を打つのを感じた。とっさに初幸を背後に隠そうとしたが、端整な顔立ちの男はそれより早く、ゆっくりと膝を折って初幸と視線の高さを合わせたのだ。

何をする気?

綺世の全身が、相馬千冬の挙動一つで弓の弦のように張り詰めた。

膠着状態が続いた。

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