第33章

丹羽佑妃は激昂し、バンッとテーブルを叩いた。その衝撃でウイスキーの入ったロックグラスが震え、中の丸氷が揺れて琥珀色の液体が飛沫を上げた。

もともと静かなバーだ。この騒ぎに、周囲の客の視線が一斉に集まる。

安井綺世は泥酔寸前だったが、さすがに周囲の空気を感じ取れないほどではなかった。彼女は慌てて、さらに暴れ出しそうな丹羽佑妃を押さえ込んだ。

丹羽佑妃は声を潜めつつも、安井綺世の手を掴んで真剣な表情で食ってかかった。

「あいつに、あんたを引き留める資格なんてあるわけ?!」

「あの時、小林雪子とイチャついてたくせに! 今さら引き留める? 頭のネジでも飛んでんじゃないの!?」

安井綺...

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