第117章

そんな思惑を抱きながら、筱宮湊は皐月秋雨を助手席に乗せ、車を花海山荘へと走らせていた。

一方その頃、皐月夏帆は江川聖との一件から黒川明に救い出され、晩餐会の会場を後にしようとしていた。

彼女がここへ来た時に着ていたのは、自分自身の私服だった。しかし、翠川螢に強引に引っ張り回され、今は露出の多いキャミソールタイプのイブニングドレスを着せられている。帰るとなれば、当然このドレスを翠川螢に返さなければならない。

たかだか一着の服で、自分を江川家に売り飛ばそうとした翠川螢。その浅ましくも強欲な計算高さには、呆れるほかなかった。

皐月夏帆は黒川明に向き直り、礼儀正しく告げた。

「黒川社長、少...

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