第298章

あの綺麗な格好は、自分たちの家族を壊すための武装だ。パパである篠宮湊に向ける、あのねっとりと絡みつくような視線。夢には、彼女がよからぬことを企んでいるようにしか見えなかった。

そう思うと、夢の胸中に渦巻く危機感はいっそう強まった。

彼女は小さな足を踏み出し、カフェへと向かった。

その頃、若葉月は向かいに座る篠宮湊を見つめていた。相変わらず若々しく端整な彼の顔立ちに、彼女の瞳からは隠しきれない情熱が溢れ出ている。

完璧なメイクを施した彼女は、湊に向かって甘く囁くように問いかけた。

「湊、久しぶりね。元気だった?」

彼女は確信していた。かつて自分に夢中だった湊なら、この一言でコロリと...

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