第34章

「本当に、子供はL市にいるんですか?」

 暁月海斗が食い下がるように尋ねた。

 皐月夏帆は小さく頷いた。

「ええ、たぶん……L市で、明と夜に瓜二つの女の子を見たという情報が入ったの」

 海斗はそれ以上、深くは聞かなかった。期待が大きければ大きいほど、裏切られた時の失望も深くなる。夏帆が抱えるその不安を、彼も痛いほど理解していたからだ。

 術後の処理をすべて終え、手術室を出た時だった。

 海斗が重い口を開いた。

「先輩、あの患者さんのご家庭ですが……経済的にかなり厳しいようです。親戚中を駆け回って、ようやく六千万弱の手術費を工面したとかで」

「今日の午後には、その手術費を私たち...

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