第54章

第11章

「皐月補佐」という言葉を耳にした瞬間、篠宮湊の視線は、吸い寄せられるように皐月夏帆へと向かっていた。

今、皐月夏帆は深い眠りに落ちている。

長椅子の上で小柄な体を小さく丸め、その寝顔からは隠しきれない疲労の色が滲んでいた。

篠宮湊はまだ、皐月夏帆こそが「ドクター・エラ」本人であるという事実を知らない。

だが、これほどまでに憔悴しきった彼女の姿を目の当たりにした時、彼の胸の奥で、理由のわからない愛おしさと痛みがふと込み上げてきた。

「篠宮社長、皐月補佐はどうしてこんな場所で眠っておられるのでしょうか」

霧島真が、不思議そうな顔で篠宮湊に尋ねた。

篠宮湊は眉間をわず...

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