第78章

彼女は筱宮湊に詰め寄り、有無を言わせぬ口調で脅しをかけた。

「もしお見合いをしないと言うなら、夢ちゃんが退院し次第、あの子を連れてL市を出て行くわ」

「私にはたった一人の孫娘なのよ。これ以上、誰かに傷つけられるのなんてまっぴらだわ……」

綾瀬結愛はそう言い捨てると、踵を返して二階へと上がっていった。

広いリビングに一人残された筱宮湊は、去りゆく彼女の背中を見つめながら、呆れたように立ち尽くしていた。

彼の思考は、少しばかり混乱していた。

その時、脳裏にふと皐月夏帆の顔が浮かんだ。もし綾瀬結愛がセッティングしたお見合い相手が皐月夏帆だというのなら、多少は興味が湧くかもしれない。

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