第115章 騙される

平川希は向かいに座る北野雪乃を一瞥し、精緻な眉をくいと上げた。視線は目の前のワイングラスを掠め、最後にその後ろに控える竹本恵梨香へと向けられる。

彼女は、かすかに口角を上げた。

悪事を企む人間というのは、それを顔に書いてしまうものだ。しかも、他人に気づかれていないと無邪気に信じ込んでいる。

平川希は表情を変えずに唇を吊り上げると、そばのワイングラスに手を伸ばし、ゆっくりと北野雪乃のグラスへと近づけていった。

北野雪乃の瞳に、してやったりという笑みが閃く。

竹本恵梨香も、勝利は目前だと確信していた……。

カチン、とガラスが触れ合う微かな音が響く。

北野雪乃のグラスが傾き、中の液体...

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