第211章 瞬く間に、八年が経った

「知らない人が見たら、離婚しに来たのかと思うわよね」

平川希は遠くを見つめ、物思いにふけっていた。

あの瞬間、心に抑えきれない喜びが込み上げてきたのを、彼女は今でも覚えている。今は愛されていなくても構わない、必ず彼を振り向かせてみせる、と自分に言い聞かせた。そして心の中で、彼にそっと語りかけたのだ。高原賢治、私たちのこれからに期待していて、と。

瞬く間に八年が過ぎた。その間に二人は離婚し、凌太と由佳が生まれ、そして彼は彼女を愛するようになり、復縁した。

そう、彼は彼女を愛するようになったのだ。

先ほど、職員がからかうように言った言葉の通りに。

「ご主人があなたのことを本当に愛して...

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