第246章 お爺さんの状況は極めて危険だ

高原爺さんは谷口直美の手を掴み、ありったけの力で引き寄せようとした。「彼女を離せ、離すんだ……」

「クソジジイ、死にたいのか」

 谷口直美は凶悪な光を宿した目で、勢いよく振り返った。

「やめて……!」

 平川希の瞳孔が急激に収縮する。止めに入るには、もう間に合わない。

 シュッ、という音が響く。

 鋭い刃が薄い衣服を何の抵抗もなく貫き、人の肉に突き刺さる、恐ろしい音がした。

 その瞬間、部屋に入ってきた高原賢治の瞳が、俄かに見開かれた。

 平川希の耳元で、甲高い轟音が鳴り響く……。

 空気が止まったかのようだった。

 真っ白な壁が、飛び散った血で目に痛いほど赤く染まる。壁...

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