第277章 もてる

 夕食は古谷匡史が手配したもので、平川希は高原賢治と共にそれを囲んだ。テーブルに並べられた精巧な料理を前に、平川希は箸を手に取る。

 高原賢治は会社に急用があるらしく、ひっきりなしに携帯電話を手に、流暢な多言語で相手とやり取りをしていた。平川希には何を話しているのか分からなかったので、一人で席に着き、彼を待ちながら食事を始めた。

 彼は本当に忙しい。怪我をしてからの数日間で、仕事がかなり溜まってしまったのだろう。ティーテーブルの上には、古谷匡史が持ってきた書類が山積みになっている。

 電話を終えると、高原賢治は平川希の隣に腰を下ろし、箸を取って彼女の皿にエビを一つ載せた。

 平川希は...

ログインして続きを読む