第280章 事件が起こる

「何故も何もない、行け!」山内隼人の声は、反論を許さないほどに断固としていた。

平川希は眉を顰め、心配そうに彼を見つめる。「まずはその怪我の手当てをさせて。その後なら行くわ。もうここに来てしまった以上、無関係ではいられないし、今更逃げても手遅れよ」

彼女が来てしまえば、もう無関係ではいられなくなる。それを痛いほど分かっているからこそ、山内隼人は怒りを露わにしていた。

結局、彼女を巻き込んでしまったのだ。

山内隼人は奥歯を強く噛みしめる。「お前は昔から賢い。こんな時に来るべきじゃなかったことくらい、分かるはずだ」

「あなたを見殺しにするほど、私は薄情じゃないわ」平川希は自分の手を引き...

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