第303章 羊が一匹、羊が二匹……

平川希は、高原賢治が自分の枕を手にソファへ向かっていくのを見送った。その背中は、どこか物悲しげに見える。

その様子に、平川希は思わず心の中でくすりと笑った。先ほどの一幕で、彼女もすっかり眠気が飛んでしまっていたのだ。

高原賢治が洗面所から出てくると、平川希はまだ元気いっぱいにベッドに寄りかかり、澄んだ瞳で彼を見つめていた。高原賢治はすっと眉を上げる。

こっそり見ていたのがバレてしまい、平川希はきまり悪そうに布団を引き上げ、すぐさま大人しく横になって眠りについた。

まるで昼寝をサボって捕まった子供のように、慌てふためいている。

高原賢治の目に笑みが浮かび、彼はベッドに歩み寄ると、布団...

ログインして続きを読む