第347章 スケープゴート

手を洗い終えて出てきた平川希は、その光景を目の当たりにした。

山本静香の青白い頬にはくっきりと平手打ちの痕が残り、目元を真っ赤に腫らして唇を強く噛み締めている。ぼろぼろと涙をこぼすその痛々しい姿は、見る者の同情を誘うほどだった。

だが、平川希はただ彼女を哀れに思うだけだった。

手を拭いたペーパータオルをくずかごに捨て、平川希はゆっくりと高原賢治の方へ歩み寄った。その足取りは至って落ち着き払っている。

平川希が姿を現した瞬間から、高原賢治の視線は彼女をじっと追いかけていた。彼女が近づくと、彼はすでに腕を伸ばし、庇うように彼女をその胸に抱き寄せた。

それはまさに蝶よ花よと慈しむような態...

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