第351章 捨て駒

高原賢治は仕方なくスマホを受け取った。

「一人で家にいて大丈夫か」

「平気よ。後で誰かに凌太と由佳を送り届けてもらって」

「わかった」

「早く自分の用事を済ませてきて」と、平川希は急かした。

「ああ」高原賢治は素直にうなずき、自分のジャケットを手に取ると、身をかがめて彼女の眉間にキスを落とし、背を向けて歩き出した。

「高原賢治」平川希はふと何かを思い出し、立ち上がって二歩追いかけた。

「ん?」

「あの……」平川希は唇を噛み締めて言った。「山内隼人のことなんだけど、彼に一日の猶予をくれない?」

高原賢治は山内隼人の件について何も言及していなかったが、平川希は彼が追手を差し向け...

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