第363章 予想外

希が年上の彼に対して酷い言葉を投げつけないのは、彼女が育ちの良さを持ち合わせているからだった。そうでなければ、怒りに任せて思いきり罵倒してやりたいところだった。

「あなたの一億円が、賢治の与えてくれたものの万分の一にでもなるとお思いですか?」

希は淡々と問い返した。

高原浩文の顔から、危うく表情が剥がれ落ちそうになった。

「人間、欲張るものではない。賢治を愛していると口では言いながら、なぜ彼を解放してやらないのだ。見なさい、彼がお前にどれほど骨抜きにされているかを。お前のせいで理性を失いかけているではないか。賢治は未来の当主だ。決して男女の情にかまけている場合ではないのだ」

この前...

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