第377章 善人には見えない

宇野優衣はどうしてもその男から目が離せなかった。そのシルエットには見覚えがあり、以前どこかで会ったような気がしてならないのだが、いざ思い出そうとすると全く頭に浮かんでこない。

何しろ男は顔がほとんど見えないほど厳重に完全防備しており、手には花束を抱え、その後ろにはスタイリッシュな服装の者たちが何人もぞろぞろと従っている。

エレベーターに乗り込んだ宇野優衣は、扉が完全に閉まるその瞬間まで、遠ざかっていく男の背中をじっと見つめ続けていた。

高原圭太が眉を吊り上げ、その声にほんのわずかな冷たさを滲ませる。

「何を見ている? マスクを透かして素顔でも見えると?」

「見えるわけないでしょ」

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