第386章 できるものなら跳んでみろ

「いやだ、いやだ、賢治兄さんに会いたいの。賢治兄さんに会わせて、どうしても賢治兄さんに会いたいの」山本静香は呂律の回らない声で呟いた。

「すぐ来るから、まずはそこから降りてちょうだい」高原美智子はひどく困り果てた顔をしている。

なんてことなの。うちの息子が哀れでならない。この女は頭がおかしくなってもまだ彼にまとわりつくなんて。

「静香、ひとまず降りなさい。賢治にはもう電話した、本当にすぐ来るから」高原浩文は彼女が落ちてしまうのではないかと冷や汗を流し、必死に説得している。

だが山本静香はまるで耳を貸そうとせず、窓の外に投げ出した両脚をぶらぶらと揺らしている。周りが何を言おうと、まった...

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