第230章

警官は流れでペンを置いた。

目の前でめそめそ泣き続け、頭痛の種になっている女を、いかにも不機嫌そうに見やる。

ひらひらと手を振って黙れと合図し、それから口を開いた。

「つまりだな。奥さんがケガしてる。少なくとも奥さんは無関係だろ」

「まず泣くのやめろ。先に謝れ」

警官がそう言っても、女はまるで反応しない。

むすっと顔をしかめてこちらを振り向き、古村陽平が見下ろすように視線を向けているのに気づくと、その威圧感に怯んだのか、泣くのはやめた。だが引っ込みはつかないとばかりに背筋を伸ばし、言い返す。

「奥さんがケガしたって? 奥さんの友だちのせいで、あたしだって傷ついたんだけど!」

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