第243章

JMジュエリーを出るなり、江崎鏡は息つく間もなく古村家へ向かった。

エレベーターを降りた瞬間、受付がさっと立ち上がり、頭を下げる。

「若奥様」

いまや古村家の人間なら誰もが知っている。古村陽平の中で、江崎鏡がどれほどの重みを持つかを。そして彼女が、決して「扱いやすい」相手ではないことも。何しろ、彼女の肩書は古村家の奥様だけではなくなっていた。

社内でも、とっくに結論は出ている。

「うちの若奥様って、普通の籠の鳥とは違うよね。自分の仕事もあるし、JMジュエリーの社長とも相当近いらしいし。養女にするって話まであるんだって」

「それな。あの人は元々価値があるんだよ。古村社長がいなくても...

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