第249章

雲市は、日ごとに冷え込んでいく。

古村陽平は薄い上着を一枚引っかけただけで、外へ出た。

高橋さやかの家の前でぶるぶる震えながらしばらく待ち、玄関先のレンガの数を何度も数え直しては逡巡する。――そしてようやく腹を決め、扉を叩いた。江崎鏡と、筋を通して言い合うつもりだった。

ところが。

古村陽平が「喧嘩上等」の顔を作った、その瞬間に扉が開いた。出てきたのは、高橋さやかだった。

古村陽平は一気に肩の力が抜け、苛立ちを隠しもせずに言う。

「……またお前か」

高橋さやかと古村陽平は、今やすっかり矛を収めた状態だった。

家は彼が見つけてくれた。引っ越しも手伝ってくれた。世話になった相手に...

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